教育分野におけるクラウド

まえがき

クラウドサービスやクラウドの技術が企業や個人で使われるようになり、数年が経過しました。クラウドサービスには Web メールやグループウェアなど個人が日常的に利用するものや、当社“e ラーニング moca”“図書館システム BABEL” など専門的に利用するものなど、様々な種類があります。

クラウドサービスという用語については、「総務省 安心してインターネットを使うために 国民のための情報セキュリティサイト 用語辞典」などの Web ページで詳しく説明されています。

今回から、「教育分野におけるクラウド」というタイトルで、教育分野でのクラウドサービスやクラウドの技術を活用した事例などを取り上げていきます。本ブログで、クラウドが教育分野でどのように活用されているのかをご紹介できればと思います。

大学の情報システムのクラウド化の現状

文部科学省 (文科省) は、大学図書館やコンピュータ・ネットワーク環境の現状を明らかにするために、2005 年度 (平成 17 年度) から「学術情報基盤実態調査」を実施しています。
2015 年度 (平成 27 年度) の「学術情報実態基盤調査」も公表されており、その中には、大学のクラウドの運用状況もまとめられています。

全 779 大学 (国立、公立、私立を含みます) 中、594 校 (76.3%) が情報システムをクラウド化して運用しています。また 101 校 (13.0%) が情報システムのクラウド化を検討しています。educloud22014 年度 (平成 26 年度) の「学術情報実態基盤調査」では、全 779 大学中、555 校 (71.2%) が情報システムをクラウド化して運用しており、大学では情報システムのクラウド化が進んでいるといえるのではないでしょうか。

続いて、国による学校の ICT 環境の支援で、クラウドの技術がどのように扱われているかをご紹介します。

国による学校の ICT 環境の支援・促進

文部科学省 (文科省) は「先導的な教育体制構築事業」を、総務省は「先導的教育システム実証事業」を、それぞれ連携しながら、2014 年度から 2016 年度の 3 年間実施しています。事業において実証研究を一体的に行う 3 地域 (1 地域 4 校) は、一般から募集の公募で決まりました。2 つの事業ですが、どちらも概要の中に “クラウド” という言葉が使われております。

『クラウド・コンピューティング技術など最先端の情報通信技術を活用し、異なる学校間及び学校と家庭との連携を深め、新しい学びを推進するための指導方法の開発、教材・指導実践事例等の共有など、先導的な教育体制の構築に資する研究を実施する。』
文部科学省 「先導的な教育体制構築事業」に係る提案公募開始 1 事業の概要 (1)「先導的な教育体制構築事業」について」 より

文科省の「先導的な教育体制構築事業」の概要では “クラウド・コンピューティング技術” という言葉が登場しており、文科省が “クラウド” の技術を教育に活用することを検討していると読み取れます。

『教育分野においてICTを利活用するにあたり、文部科学省と同一の実証地域において、高コスト (端末等の設置・管理) のシステム、教材・学習履歴の分散保存、シームレスな学習・教育環境が未構築等の課題を解決するため、クラウドや HTML 等の最先端の情報通信技術を柔軟に取り入れ、多種多様な端末に対応した低コストの教育ICTシステムの実証研究を実施します。』
総務省 先導的教育システム実証事業 より

総務省の「先導的教育システム実証事業」の概要でも “クラウド” と記されており、総務省も “クラウド” の技術を教育に取り入れることを検討していると読み取れます。

educloud3国はこれまでも、学校における ICT (情報通信技術) の活用を支援・促進してきました。2 つの事業ともに “クラウド” などの最先端の情報通信技術と記述されており、国が “クラウド” の技術を教育に活用することに肯定的だと感じました。

3 地域の実証研究について

実証地域に選ばれたのは、福島県新地町、東京都荒川区、佐賀県の 3 地域です。また佐賀県は佐賀県武雄市と連携して実証研究を行います。

福島県新地町の教育委員会の Web サイトでは、「新地町ICT教育」というページがあり、様々な取り組みが紹介されています。

東京都荒川区は 2014 年 9 月 (平成 26 年) に区内の小・中学校全 34 校にタブレット PC を導入しており、1 月後の 10 月に実証地域に選ばれました。クラウドの有効活用や児童生徒の個人カルテの作成になどに取り組んでいます。

佐賀県は、佐賀県 学びが変わる! 佐賀県 ICT 利活用教育 という Web サイトで実証実験について公表しています。佐賀県は、異なる学校間の連携というアプローチで実証研究に取り組んでいるようです。

福島県新地町と東京都荒川区は 3 つの小学校と 1 つの中学校で実証研究を行いますが、佐賀県は小学校・中学校・高等学校・特別支援学校で行います。校種の構成からも、それぞれの提案の独自性が感じられます。

次回は、3 つの地域の実証研究の詳細について、ご紹介する予定です。

参考 Web サイト、文献

以下の Web サイトや文献を参考にさせていただきました。ありがとうございます。

 

大学のポートフォリオについて – e ポートフォリオとは- (2)

前回は電子媒体のポートフォリオである e (Electronic) ポートフォリオの定義や分類 (TP や AP、LP に近いもの) をご紹介しましたが、今回はその続きとなります。

日本の教育機関における e ポートフォリオの例

前回の PortfolioGen は海外の企業が運営している e ポートフォリオでしたので、今回は日本の教育機関が開発・運用しているものをいくつかご紹介しようと思います。e ポートフォリオと呼ばれていても、導入の経緯や目的は教育機関ごとに様々です。また教育機関の e ポートフォリオは、学生や教員、職員など多様な立場の利用者に有用なものを導入する場合が多いと考えられますので、TP や AP、LP などに分類するのが困難だと思われます。

公益社団法人 私立大学情報教育協会 (望ましい教育改善モデルの探求や、高度な情報環境の整備促進などを事業としている団体です) の機関紙、”大学教育と情報” の 2013 年度 No.4 に e ポートフォリオの特集が掲載されているため、そちらの情報を基にして日本の教育機関の e ポートフォリオをご紹介します。

帝塚山大学

Tezukayama University Gakuenmae Building 16
By Mti (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

帝塚山大学では、学生の学力・人間力・社会力の養成 – e 能力ポートフォリオと e 能力アセスメントを活用して- が 2008 年度に文部科学省「質の高い大学教育推進プログラム (教育 GP)」に選定され、e ポートフォリオの構築・運用が始まりました。既存の e ラーニングシステム「TIES」と連動する e 能力ポートフォリオと e 能力アセスメントというシステムを構築して 2008 年度から運用しています。

目的

  • 学生の質的な成長の軌跡を評価・判定・記録
  • e 能力ポートフォリオの構築 : 多様な学習成果を記録・蓄積し自己管理
  • e 能力アセスメントの実施 : 学習の到達度や志向・態度に関する客観的評価を自己点検
  • e ラーニングシステムの活用 : デジタルペンを使って書き込まれたレポートを教職員と学生が一緒に検討可能 (2013 年度よりシステムを変更したとのこと)

帝塚山大学の e ポートフォリオで驚いたのは、教育 GP の取組期間後もシステムが運用されていることです。取組期間 (2008 年から 2010 年) 後も人員や予算を確保してシステムを運用しており、帝塚山大学の e ポートフォリオに対する意気込みが感じられます。

大阪府立大学

大阪府立大学 羽曳野キャンパス正門
大阪府立大学 (Wikipedia)

大阪府立大学では 2009 年より大阪府立大学高等教育開発センターにおいて e ポートフォリオの議論が始まり、2012 年より独自の e ポートフォリオの運用を開始しました。
大阪府立大学では高等教育開発センターが中心となり、”教員の講習・研修活動などを通じて授業の質向上を目指す活動”、”新しい教育プログラムの開発”などを行っているそうです。ホームページには活動報告や刊行誌などが掲載されています。

経緯
2005 年度後期から Web 上で実施していた授業アンケートの回答率が年々低下していたことが直接的な契機となり、2009 年より e ポートフォリオの議論が始まりました。対応策を検討する中で、授業アンケートの在り方自体に様々な課題があるのではないかという問題意識が芽生えました。”学生の学びに教員が着目する”、”容易にデータを蓄積・活用できる”、”学生に直接的なメリットをもたらす” ことを満たす仕組みを検討する中から、”学生による学びの自己評価を核とした e ポートフォリオ” のアイデアが生まれたということです。学内での議論などを経て、2012 年度より全学で e ポートフォリオの活用が開始されました。

目的

  • 学生の自律的学習習慣の確立と、学習の継続的な自己改善の促進
  • 教員が日々行っている教育改善の更なる促進
  • 大学内の組織的教育改善を促進

大阪府立大学の e ポートフォリオは上記の 3 つを主な目的としているそうです。学生を対象とした LP の要素を含みつつも、教員や大学組織も対象としており LP、TP、AP などに分類するのが難しいように思えます。私個人は “学習の継続的な自己改善” という目的から LP に近いという印象を受けました。また “教育の質保証のためのエビデンス” や “学生の成果物の収集” ではなく、授業アンケートの回答率低下が e ポートフォリオの議論のきっかけとなったのは珍しく思えました。

大手前大学

大手前大学 さくら夙川キャンパス本館
大手前大学 (Wikipedia)

大手前大学はリベラルアーツ型大学を目指していて、リベラルアーツの主目的を「問題解決力」の慎重であると定めて、独自の C-PLATS(R) 能力開発教育体系を構築し、”知識偏重教育” から “能力開発教育” への転換を目指す教育改革を 2011 年度から行っています。

大手前大学 Find 受験生総合サイト C-PLATS(R) によると、C-PLATS(R) とは問題解決能力を発揮するために必要な 10 のチカラ (社会的責任やチームワークなど) の頭文字をとったものとのことです。

目的
el-campus と呼ばれる e ポートフォリオは、C-PLATS(R) 能力開発教育体系における能力の伸長度 (学修成果) やその評価、質保証のためのエビデンスに活用するために 2011 年に開発されました。また el-campus の開発・運用以前である 2010 年度から、就職活動と進路決定に特化した就カツくんと呼ばれる独自の e ポートフォリオを開発・運用しているそうです。

大手前大学では試験で評価することが難しい “能力” を測定する el-campus と、就職支援のための就カツくんという 2 つのシステムがあり、e ポートフォリオを積極的に活用しているという印象を受けました。

神奈川大学

神奈川大学
神奈川大学 (Wikimedia Commons)

神奈川大学工学部では、理工再編の一環として、工学部「総合工学プログラム」という定員 90 名の教育プログラムを 2012 年度に設置しました。グローバルな観点に立つ総合エンジニア育成を目指して、入学者全員に無償貸与したタブレット端末と神奈川大学の公式 LMS を活用しました。しかし、下記の目的を達成するためには別のシステムで補完する必要があったため、e ポートフォリオシステムを導入しました。

目的

  • PBL (Problem Based Learning) などのアクティブラーニングでの活用
  • e ポートフォリオ導入による学びの自己管理および学修サポート
  • SNS (Social Network Service) などを通じて、学生間 (または教員) の連携強化

神奈川大学工学部ではタブレット端末や公式 LMS、e ポートフォリオを組み合わせて、総合エンジニア育成の目的達成に取り組んでいました。他学部で e ポートフォリオを導入するのかどうかが気になります。

今回は日本の教育機関が開発・運用している e ポートフォリオを 4 つご紹介しましたが、導入の経緯や目的はそれぞれ異なっていました。e ポートフォリオと一口に言っても、その内容は各々の教育機関の持つ理念や目的 (人員や予算なども影響しているかもしれません) によって様々であると思いました。

参考 Web サイト、文献

以下の Web サイトや文献を参考にさせていただきました。ありがとうございます。

大学のポートフォリオについて-e ポートフォリオとは-

e ポートフォリオの定義

これまでにご紹介してきたラーニング・ポートフォリオ (以下 LP) などのポートフォリオは、その目的や要素を満たしていれば、媒体は紙と電子のどちらでも構わないというものでした。今回ご紹介するのは、電子媒体のポートフォリオである、e (Electronic) ポートフォリオです。まずは定義をご覧ください。

『では,eポートフォリオとはなんだろうか. 一言で言えば,電子化されたポートフォリオである.真正な評価においては,学習のプロセスを通した継続的な学習成果物や学習履歴データ等の記録(学習のエビデンス)を重視し, これらを用いて学習者のパフォーマンスを評価する. この際に,学習のエビデンスとなるもの,すべてが「ポートフォリオ」である.』
教育分野における e ポートフォリオとは 2.3. e ポートフォリオとは 東京学芸大学 森本研究室 より

『学習成果物・履歴の蓄積[Collect]→目的に対する学習成果物・履歴およびその関連性の考察[Reflect]→公開する情報の選択・設計[Design]→選択的公開・相互評価[Publish]→評価結果を受けて再度学習成果物・履歴の蓄積[Collect]→・・・という評価活動を含んだサイクルとなっている(中略)上述のような学習プロセスを,IT 技術を用いて実現させたシステムをe ポートフォリオ[Electronic Portfolio ](後略)』
e ポートフォリオを活用したマルチキャリアパス支援 小川賀代 より

『学習教材・活動・成果を収集、選択、振り返り、共有するツールであり、そういったツールを活用した学習に対するアプローチ』
e ポートフォリオを活用した教育実践の可能性 放送大学 ICT活用・遠隔教育センター 青木 久美子 より

3 名の先生方による定義をご紹介しましたが、いずれも「学習」に着目したものとなっており、「学生」を対象とした LP と近い印象を受けました。
ご紹介した定義の中には、「教員」の「教育」や「業績」について言及しているものはありませんでしたが、私個人はティーチング・ポートフォリオ (以下 TP)アカデミック・ポートフォリオ (以下 AP) の目的や要素を満たして電子化されていれば e ポートフォリオと呼んでもいいのではないかと思いました。海外の学校となりますが、アメリカのヴァンダービルト大学の TP のページには、Electronic Teaching Portfolios (電子のティーチング・ポートフォリオ) と紙の TP との違いを説明している項目があり、電子の TP について記述されています。

TP や AP に近い e ポートフォリオ

portfolioGen海外にはポートフォリオを作成・公開できる Web サイトがあり、PortfolioGen はその中の 1 つです。PortfolioGen は無料で活用でき、世界中で 2 万人以上のユーザがポートフォリオを公開しています。主な利用者は、Teachers and Educators (教師、教育者)、Students (学生)、Professionals (専門家) のようです。ポートフォリオのサンプルこちらのリンクからはポートフォリオのサンプルを閲覧することができます。このように海外では、TP や AP に分類できるような e ポートフォリオが公開されています。

日本と海外で TP や AP の作成方法や公開方法が異なるのではないかと思いましたので、その違いを記述します。こちらは私個人の意見となります。

場所 : 日本では学校のホームページで公開されていますが、海外ではポートフォリオの Web サイトでも公開されています。

媒体 : 日本ではワークショップなどで作成した Word ファイルや PDF ファイルが公開されていますが、海外では動画などが埋め込まれた e ポートフォリオも公開されています。

意識 : 日本では TP や AP を作成しようということを意識せずに、授業計画や授業実践、教育哲学、業績などを掲載している先生が多いように思いました。海外では TP や APを作成するという意識で作っている先生が多いように思いました。

このように日本と海外では TP や AP に分類されるような e ポートフォリオの普及度や先生方の意識の違いなどを感じました。

LP に近い e ポートフォリオ

海外では先ほどご紹介した PortfolioGen などの Web サイトで、学生も LP に近い e ポートフォリオを作成・公開できます。

日本では LP に近い e ポートフォリオが TP や AP に近いポートフォリオと比べて主流のようです。冒頭でご紹介した e ポートフォリオの定義も、「学習」に着目した「学生」を対象としたものでした。

余談となりますが、私が大学生のときに営業の方がご紹介された e ポートフォリオも学生を対象としたものでした。

参考 Web サイト、文献

以下の Web サイトや文献を参考にさせていただきました。ありがとうございます。

次回も引き続き e ポートフォリオについてとなります。

大学のポートフォリオについて-アカデミック・ポートフォリオとは-

本ブログではこれまでに、ティーチング・ポートフォリオ (以下 TP と呼びます)ラーニング・ポートフォリオ (以下 LP) をご紹介してきましたが、今回はアカデミック・ポートフォリオ (以下 AP) を取り上げたいと思います。

アカデミック・ポートフォリオ (AP) の定義

『教員の職務業績(教育、研究、サービス活動)の説明責任を果たすためのツールとして米国で広く活用が進められている取組の一つ。
教員の業績を明らかにし、その範囲と質を示す文書と資料をまとめることにより、教員自らの自己省察や組織としての業務改善、人事決定の資料など柔軟な用途に利用が期待される教員評価、能力開発のためのツール。』
独立行政法人 大学評価・学位授与機構 機構ニュース Vol.73 平成 21 年度大学評価フォーラム「内部質保証システムの充実をめざしたアカデミック・リソースの活用」-個性ある大学づくりのために- ワークショップ開催のお知らせ より

『教育、研究、サービス活動の業績についての自己省察による記述部分およびその記述を裏づける根拠資料の集合体であり、一人の大学教員の最も重要な専門的成果に関する情報をまとめたもの』
大阪大学 学際融合教育プログラム 構成科目 大学授業開発論Ⅲ シラバス内のコメント より

それぞれの定義から AP は、「教員が作成する」、「教育、研究、サービス活動の業績をまとめる」、「教員は業績について自己省察する」、「説明責任を果たすために使われる」ものだといえそうです。

ティーチング・ポートフォリオ (TP) とアカデミック・ポートフォリオ (AP) の違い

以前のブログでご紹介した TP も教員が作成するポートフォリオでした。では TP と AP にはどのような違いがあるのでしょうか。TP は文部科学省の用語解説だと「教育業績ファイル」と説明されています。このことから、TP は教員の教育活動に焦点を当てたポートフォリオで、AP は教員の教育活動だけでなく研究活動とサービス活動にも焦点を当てたポートフォリオだといえます。

『大学等の教員が自分の授業や指導において投じた教育努力の少なくとも一部,を目に見える形で自分及び第三者に伝えるために効率的・効果的に記録に残そうとする「教育業績ファイル」,もしくはそれを作成するにおいての技術や概念及び,場合によっては運動を意味している。』
文部科学省 学士課程教育の再構築に向けて(審議経過報告)(案)用語解説(案)【ティーチング・ポートフォリオ】 より

TP、AP、ラーニング・ポートフォリオ (LP) について表にまとめると以下のようになります。

TP AP LP
対象 教員 教員 学生
目的 教育活動について、まとめる / 自己省察する / 説明責任を果たすための証拠 (エビデンス) とする / 評価に用いる など 業績 (教育、研究、サービス活動) について、まとめる / 自己省察する / 説明責任を果たすための証拠 (エビデンス) とする / 評価に用いる など 学習実践や学習成果を記録する など
対象 8 ~ 10 ページ 15 ~ 20 ページ
主な書籍 TeachingPortfolio The Academic Portfolio: A Practical Guide to Documenting Teaching, Research, and Service (Jossey-Bass Higher and Adult Education) The Learning Portfolio: Reflective Practice for Improving Students Learning Second Edition

 

続きを読む 大学のポートフォリオについて-アカデミック・ポートフォリオとは-

大学のポートフォリオについて-ラーニング・ポートフォリオとは-

ラーニング・ポートフォリオの定義

ラーニング・ポートフォリオ (以下、LP) も、ティーチング・ポートフォリオ (以下、TP) と同様に様々な定義がありますので、いくつか紹介したいと思います。 TP については、前回のブログで取り上げております。

「自らの学習活動について振り返り、自らの言葉で記し、様々な根拠資料によってこれらの記述を裏づけた学習実践について厳選された記録。」
国立大学法人 佐賀大学 7.ラーニング・ポートフォリオ (LP) より抜粋

「一般的に,学生の学習実践の記録をまとめたもの」
聖学院大学欧米文化学科GP推進室 学びを記録し記憶し保存する : E-ポートフォリオの活用 (p.1) より

「学生が自らの学習実践記録を目に見える形で残し、学習過程を省察実践したもの」
平成21年度 弘前大学FD講演会 平成21年度弘前大学FD講演会の開催 (p.3) より

また「学習ポートフォリオ」という LP に似たものがあるので、そちらもご紹介します。

「学生が,学習過程ならびに各種の学習成果(例えば、学習目標・学習計画表とチェックシート、課題達成のために収集した資料や遂行状況、レポート、成績単位取得表など)を長期にわたって収集したもの。」
文部科学省 学士課程教育の再構築に向けて(審議経過報告)(案)用語解説(案)より

それぞれの定義において「学生が作成する」、「学習実践や学習成果の記録」という部分は共通しているように思えます。また TP は「教員が記録する」ものでしたが、 LP は「学生が記録する」ものといえます。

日本の高等教育では、 LP や学習ポートフォリオ、学修ポートフォリオという言葉で「学生が記録する」ポートフォリオが用いられています。

高等教育におけるラーニング・ポートフォリオ (LP) の発祥

以前のブログに書いた内容の繰り返しになりますが、 1980 年代にカナダで発祥してアメリカに普及した TP を学生にも適応するために、 2004 年頃のアメリカで LP の概念が生まれました。

ジョン・ズビザレタ教授のラーニング・ポートフォリオ (LP) について

learningportfolioコロンビアカレッジのジョン・ズビザレタ教授は、2009 年に「The Learning Portfolio: Reflective Practice for Improving Students Learning Second Edition」という LP に関する書籍を執筆しました。ズビザレタ教授の書籍は、日本でも様々な論文で参考文献として用いられております。 LP の定義や概要には様々なものがありますが、今回はズビザレタ教授の LP をご紹介したいと思います。

 

続きを読む 大学のポートフォリオについて-ラーニング・ポートフォリオとは-

大学のポートフォリオについて-ティーチング・ポートフォリオとは-

ティーチング・ポートフォリオの定義

ティーチング・ポートフォリオ (以下、TP と呼びます) には様々な定義がありますので、いくつか紹介したいと思います。

『大学等の教員が自分の授業や指導において投じた教育努力の少なくとも一部,を目に見える形で自分及び第三者に伝えるために効率的・効果的に記録に残そうとする「教育業績ファイル」,もしくはそれを作成するにおいての技術や概念及び,場合によっては運動を意味している。』
文部科学省 学士課程教育の再構築に向けて(審議経過報告)(案)用語解説(案) より

『大学教員による教育業績記録ファイル』
文部科学省 学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)(p.39) より

『自らの教育活動について振り返り、その自らの記述をエビデンスによって裏づけた厳選された文書』
ティーチング・ポートフォリオ・ネット このサイトのめざすもの より

『自らの教育活動について振り返り、自らの言葉で記し、様々なエビデンスによってこれらの記述を裏付けた教育業績についての厳選された記録』
佐賀大学 FD・SD フォーラム ティーチング・ポートフォリオとは何か ティーチング・ポートフォリオとは (p.5) 大学評価 学位授与機構 栗田佳代子 より

定義ごとに多少の差異はありますが、「教員が記録する」、「授業などの教育活動を振り返りながら記述する」、「授業資料や課題、学生の授業評価アンケートを厳選してエビデンス (証拠) に用いる」ということは共通していると思います。

補足:ティーチング・ポートフォリオ・ネットについて

ティーチング・ポートフォリオ・ネットは独立行政法人 大学評価・学位授与機構の評価研究部所属の栗田佳代子氏が管理者を務めている Web サイトです。 TP が高等教育の質の向上に貢献できる手段として正しく普及することの支援を目的としています。「ワークショップの質について基準の提案」や「メンターとしての望ましいあり方をまとめたメンターチェックリストの公開」などに取り組んでいます。

補足:FD・SD について

FD はファカルティ・ディベロップメント (Faculty development)、SD はスタッフ・ディベロップメント (staff development) の略語です。FD は教員を、SD は職員を対象とした組織的な取り組みのことです。

FD とは教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称のことです 『文部科学省 大学教員のファカルティディベロップメントについて より』。具体的な取り組みは組織ごとに様々ですが、「教員による他の教員の授業参観」や「学生による授業評価アンケート」、「ティーチング・ポートフォリオ (TP) の作成」などがあります。

SD とは事務職員や技術職員など職員を対象とした、管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取組をさします 『文部科学省 学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)用語解説 (p.59) より』。

続きを読む 大学のポートフォリオについて-ティーチング・ポートフォリオとは-

大学のポートフォリオについて-ポートフォリオの語源・由来、高等教育におけるポートフォリオの発祥-

まえがき

高等教育で “ポートフォリオ” という言葉が使われるようになり、数年が経過しました。日本には “ポートフォリオ” に関する書籍や論文、製品が多くあり、教育におけるキーワードのひとつと言えるのではないでしょうか。しかしポートフォリオの定義や概念は難しく、ポートフォリオとは何かを理解するのは難しいように思えます。

本ブログでは “大学のポートフォリオについて” というタイトルで、ポートフォリオの語源・発祥、 e ポートフォリオ、大学におけるポートフォリオの事例などを数回に分けて紹介していきます。本ブログでポートフォリオの理解を支援できればと思います。

ポートフォリオの語源・由来

ポートフォリオは「紙ばさみ」を意味する英語である「portfolio」からきており、「折りかばん」や「携帯用書類入れ」のことをいいます。

「画家の画集」や「写真家の写真集」、「アーティストやデザイナーの作品集」、「ファッションモデルの写真」のことも指し、紙ばさみに個人の作品をまとめて持ち運んだことが由来だといわれています。

また金融や経済の分野では「投資家が所有する有価証券」、「個人や企業が所有する株式や債券などの金融資産 (金融商品) を組み合わせたもの」をポートフォリオといい、紙ばさみに有価証券を入れて保管・携帯していたことから呼ばれるようになりました。

高等教育におけるポートフォリオ : ティーチング・ポートフォリオの発祥と目的

高等教育 (大学、大学院、短期大学、専門学校) におけるポートフォリオは、 1986 年にカナダの大学教員協会で生まれたティーチング・ポートフォリオ (以下、TP と呼びます) が発祥だとされています。英語では「Teaching Portfolio」、カナダでは「Teaching Dossier」と呼びます。

TP の目的は “授業改善” であり、”教育実践に関する記録 (証拠) を集めたもの” をいいます。教育実践に関する記録には、
・シラバス
・授業活動の記録、授業の課題、試験、評価
・学生の成果、学生による授業評価
・他の教員による授業観察
など授業に関係するすべての資料が含まれます。

ティーチング・ポートフォリオ (TP) の目的の追加

TP は 1989 年にアメリカの高等教育で普及・拡大したといわれています。当時のアメリカでは授業料の高騰により、授業料が還元されているかのアカウンタビリティ (説明責任) が求められ、そのエビデンス (証拠) を保護者へ示すために TP が用いられました。

TP の目的が授業評価と教員評価になりました。

続きを読む 大学のポートフォリオについて-ポートフォリオの語源・由来、高等教育におけるポートフォリオの発祥-

第 6 回教育 IT ソリューション EXPO (EDIX) に来場した学生にインタビュー

第 6 回 教育 IT ソリューション EXPO (EDIX) が、2015 年 5 月 20 日 (水) から 22 日 (金) にかけて、東京ビッグサイト (東京国際展示場) で開催されました。

今回は、EDIX に来場した大学 4 年生 3 人にお話を伺いました。

EDIX について

教育分野における日本最大の専門展です。先日開催された第 6 回では 620 社の企業が出展して、製品の紹介やデモ、模擬授業、セミナーなどが実施されました。また EDIX は商談の場でもあり、出展社と教育関係者の商談も行われていました。

EDIX に関する詳しい情報は公式ホームページ等をご確認ください。
教育分野 日本最大の専門展 EDIX

大学生 3 人について

東京にある情報系の大学に通う 4 年生です。当日は、多忙な先生の代わりに製品の確認や資料の収集をするために来場しました。
写真の左から S くん、M くん、K くんです。

image1

質問内容について

以下の 2 点について、お話を伺いました。

1. 興味を持ったブースや製品
2. EDIX に来場した感想

続きを読む 第 6 回教育 IT ソリューション EXPO (EDIX) に来場した学生にインタビュー

教育機関が主催するハッカソンが増えている?

ここ数年、大学などの教育機関が主催するハッカソンが徐々に増えてきていると思います。

ハッカソンとは何か?

ハッカソンとはプログラマーやデザイナーなどがチームを組み、与えられた時間でサービスやアプリケーションを開発して発表するイベントのことを言います。ハッカソンでは複数のチームがそれぞれのアイデアや知識、技術を結集して成果を競い合います。

またアイデアソンというハッカソンの前に実施するイベントもあります。アイデアソンでは、定められたテーマに対してチームごとにアイデアを出し合い、それをまとめていきます。アイデアソンでアイデアを創出して、ハッカソンでサービスやアプリケーションを開発するという関係になっています。

ハッカソン (Hackathon) とアイデアソン (Ideathon) はどちらも造語で、ハッカソンはハック (Hack) とマラソン (Marathon) を組み合わせた、アイデアソンは、アイデア (Idea) とマラソン (Marathon) を組み合わせた言葉です。

続きを読む 教育機関が主催するハッカソンが増えている?

このブログについて

2015 年 5 月よりスタートの文教ブログは、文教関係者の皆さんに役立つ情報を提供します。

文教関係者って?

  • 学問や教育に携わる全ての方を指しています。具体的には学校の先生や職員さん、卒業研究のテーマにしている学生さん、ビジネスにしている企業の方々などのことです。

役立つ情報って?

  • 教育関係のイベントに参加して、新しい技術やそれを導入した製品の「文教というフィールド」での活用方法をお伝えできれば、と考えております。
     
  • 学会に参加して、研究者の方々が発表された新たな知見や最先端の取り組みを紹介します。
     
  • 色々な研究室の先生や学生さんにインタビューして、研究者の皆さんがどのような技術や知見に興味を抱いているのかをまとめます。
     
  • (ネタに困ったら) 学食のレビューなんかもする予定です。
     

Illust1